トランジスタアンプ

2021年にトランジスタでディスクリートアンプ作ろうかなと思い立って、基板まで起こしたもののいざ部品を実装してみると基板設計にエラッタがあってげんなりしてそのままお蔵入りした企画がありました。
2022年終わりの大掃除のときに引き出しから出てきた基板を改めて眺めているとそのエラッタも案外簡単にクリアできそうとひらめき、ならばせっかくだしと一気に組み上げてみたのがこれです。
_DSF5125.jpg
当時からせっかくつくるのだしとケースやらスイッチやら色々吟味していたのですが、あまり気合い入れても大変だしとシンプルに纏めたつもりです。

全面小さな黄色のスイッチは左がバスブースト、右が高周波ノイズカットのためのローパスフィルタ効かせるためのスイッチです。
グレーのスイッチは背面の入力2系統を切り替えるためで、これらのスイッチはすべてラッチングリレーに接続されて信号の切り替えを行っています。
トグルスイッチでもよかったのですが、ここはかっこよくと考えていくうちにこんな形になりました。
ヘッドフォン端子は右端に追いやって全体をなんとなくFocusriteのScarlettっぽいイメージにしました。黒いけど。

利得Lch:6.135倍/Rch:6.098倍
最大出力は3W程度(THD1% 8Ω)

周波数特性
タイトルなし
周波数特性は低域は10Hzでも十分かつ高域3dB落ちは300kHz~350kHz付近でなだらかに落ちるような具合です。

左右チャネル間のクロストーク特性
タイトルなし2
残念なことにまともな測定機器がないので測定はこれが限界、このグラフが真値であれば微妙な特性ですね。
起こした基板パターンや配線について見直さないとならないかなと思います。

歪み率特性@測定帯域24kHz
タイトルなし3
10kHzのグラフが最大出力付近で変なのは測定器として使ったPCのサンプリング周波数が48kHzまでのため。
歪み率特性はまずまずといったところ。

方形波応答10Hz
10.png

100Hz
100.png

1kHz
1k.png

10kHz
10k.png

100kHz
100k.png

1MHz
1m.png
方形波応答は周波数特性通りの形状ですので何ら問題ないでしょう。

以前作成した真空管アンプと比較するとこちらのほうがよりナチュラルというか聞きやすい感じでもっと早くに完成させておけば、というか今からなら基板設計し直してもっと上をといった欲が脳裏をよぎりましたが、これはこれとしてとても良いのでしばらくはこいつを使おうかと思います。
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1巻線ラッチングリレー駆動回路

1巻線のラッチングリレーをスイッチ一個でセット・リセットさせる回路が必要だったので色々調べてなんとかしました。
使用にあたって自分なりに実験をして検証もしましたが、まんま何処かへ持っていってもうまく動くとは思えないので使用する場面が変わったら都度設計変更が必要ではないかと思います。

今回の前提条件
電源電圧:DC19V
スイッチ一個でリレーを動作させるが常にリレーコイルに電流を流し続けたくない

通常のシングルステイブル型リレーでは電流を流し続けないと接点状態を保持できません。
コイルへ長く電流を流し続けたりしたくないなぁとか、消費電流を減らしたいなぁとなると解決方法はいくつかあると思いますが、その一つにラッチング型リレーを使えばコイルへ電流の供給を止めても接点は保持されるため、これを使って今回の目的をクリアしたいなあと考えます。
ラッチングリレーは1巻線形と2巻線型とがありますがそのあたりの話はメーカーのテクニカルドキュメントへ譲ることとして、今回は1巻線形を使ってみました。

1巻線型ラッチングリレーですとコイルに対して順方向に電流を流すと接点がセットされて、逆方向に流せばリセットされて、その電流パルス幅はカタログスペック的に10ms程度以上、色々と先人の知恵を見た感じでは30msとかあればいいんじゃない?みたいな雰囲気です。
スイッチ一個で電流方向を変えるにもいろいろな方法がありますが、実装面積的にできるだけコンパクトにかつ外部電源が必要とか配線がごちゃごちゃしそうなものをボツにしていくとOMRONの「リレー 共通の注意事項」というテクニカルドキュメントの中に6-10「1巻線ラッチングリレーの省消費電力ドライブ回路例」という面白そうな回路を見つけました。

先人たちもこの回路を利用したレポートがweb上にいくつかありましたので参考にさせてもらいつつ、今回の件に当てはまるように定数などを調整してみます。
といっても本気で煮詰めたわけではないのでここで提示した定数はまだまだ甘いと思います。

1巻線ラッチング駆動回路

OMRONのドキュメントを引用すると
”セット時は、D1、C、ラッチングリレー、D2を介してCの突発的充電電流にてリレーをセットさせます。(ラッチさせる)”
”リセット時は、TR、C、ラッチングリレーを介してCの放電電流で行うものです。”
とのことで、これにC2とR3からなるスナバ回路兼サージ保護を入れて構成しました。
サージ保護としてはこれもOMRONのテクニカルドキュメントから電流1Aにつきキャパシタ0.5~1.0μF、電圧1Vにつき抵抗0.5~1Ωを直列にしてコイルと並列にしたらいいよとあるのですが、スナバ回路的には電圧波形を見る感じでキャパシタは0.1μFくらいが具合が良いような雰囲気でした。
R2の1.2k抵抗は電源電圧が19Vをドロップさせて12Vのリレーコイルに印加するためと、コイルのインダクタンスとC1の容量次第では電荷が行ったり来たりして発振しそうになるのでそのダンピング抵抗も兼ねています。多分使用するリレーのコイルインダクタンスとC1の兼ね合いによってダンピング抵抗としての値は変わりそうですので吟味が必要そうです。
下のオシロの波形はこれを1kにしたときのものですが、最大電圧が12Vをちょっと超えていて精神衛生上よろしくないのでもう少し高い値をということで1.2kを選定しています。
C1の容量は先人の作例ですと100μとか330μなど結構大きな容量を当てていたりしていましたが、スイッチを短時間で操作するとC1に電荷が貯まりきらない為?かリセット不良になるため思い切って47μ→20μ→10μと減量していくとより短時間の操作でも快適に接点が切り替えできることを確認しました。
実装面積を小さくしたいという目的もあるため10μFとして5φのケミコンを充てがっています。極性はR2側がプラスを向くようにします。
R1も最初は4.7kや10kなど試しましたが手持ちにいっぱいある27kでも問題なく動作していますのでこれを充てました。ここは電流はあまり必要はないですからもっと大きな抵抗でもいいような気がします。
2sc1815はGRランクで簡易測定hfe230くらいのものを使っています。他のトランジスタでも問題なさそうですが手持ちにたくさんあることと耐圧が高め(60V)なので実験で採用してそのまま運用です。

スイッチON(セット)この波形はR2=1kのとき
TEK00000.png

スイッチOFF(リセット)この波形はR2=1kのとき
TEK00001.png
横軸1dev=2msでセットリセット共にパルス幅足りなくね?って思うのだけどうまく動いているのでこれでいいかってなりました。
定数を見直せばもっとパルス幅を長くできるのでしょうが、不具合が出るようになるまではこれでいいかーとしました。

スイッチはa接点のオルタネート型で今回はOMRONのA3Aを使用しました。モーメンタリでは押すとセット、離すとリセットになってしまうので今回の希望に合いません。
このスイッチは個人的にお気に入りなのですが取付穴11.5φに対してフランジ最大径12.7φのため穴を拡大しすぎると取り付けられなくなります。もう1mmくらいフランジが大きくてもいいのになあと感じます。
使ったリレーはOMRONの6SU-2の12Vのやつです。1巻線ラッチングリレーはなかなか売っているところが少なく、OMRONのFAストアだと3V用、秋月さんですと5Vの海外製のようで、モノタロウさんだと結構いろいろ選べそうな雰囲気、千石電商さんだとこのG6SU-2の系列でしたので今回は千石電商さんでこれを購入しました。
小信号用なのはオーディオ信号のラインレベルのやつを切り替えたいからです。

タイトルなし2
こんな感じなら7x5穴(リレー除く)で駆動回路が組めそうです

FET差動バッファ式USB DAC Version2 完成?

基板をFusion PCBに発注したのが5月8日の21時。できたから送ったよーとの応答が12日の13時くらい。手元に届いたのは20日の午前と12日間程かかりました。
宛名ラベルのフォントが小さすぎて運送屋さんが困惑気味。配達事故が起きそうだからもっと読みやすいものにしてほしいかな?

実装部品は先に手配して用意してあったのでサクサクと実装。んで、できたのがこれ。
dac.png
手前の黒い小さな基盤は秋月電子のAKIDAC。緑の基板は今回作成したバッファアンプ。
ショート事故でUSBが死ぬのが怖いので壊れても良い古いPCでテストしてみて特に問題なし。

メインPCへ接続して音楽を再生してみると、ほほーなるほど「ストレート&ワイドレンジで雑味のないキレの良い音」と設計者がおっしゃるとおりかなと言う音。AKIDACの仕様上スペックこそ冴えないものの十分実用になりますね。

f.png
周波数特性はこんな感じ、左右に変化がないため片方だけ。

TEK00004.png
1kHzの正弦波を入力したときの出力。出力1.11/0.637から利得は1.74倍程度。


この記事書きながらエミッタフォロワ部の定数間違えたことに気づきました。そのうち抵抗仕入れて取り替えてみようかな。

KiCADを使ってみて

ありがたいことにKiCADについて色々なサイトで解説されているので参考にさせてもらいました。
特に参考になったサイトをいくつか挙げておきます。
KiCADで基板設計
KiCADで基板を作る
試行錯誤な日々

回路図エディタは図を引く事自体何ら問題はなくむしろ使いやすいぞーいいぞーと思っていたのですが、ERC(エレクトリカルルールチェック)実行の折どうしてもエラーが消えない箇所があり悩みました。
KiCADにおいては電圧供給点やGNDに「PWR_FLAG」を付加してあげなければなりませんが、今回の回路ではDC-DCコンバータを内包していますので、これの給電点にも「PWR_FLAG」を与えるとエラーが解消しました。5V給電ポイントと繋がっているから問題ないと思ったのですけどねえ。
powunit_p.png


PCBレイアウトエディターも特に悩まず使えたものの、一番最初に部品が団子になって配置されたときはマジかと思いました。ごちゃごちゃの部品を回路図のとおりに広げてから徐々に詰めていけば良いのですけど初見プレイではギョッとしますね。
初見ゆえの細かいトラブルなどはありましたが、とりあえずのレイアウトも完成して3Dモデルでみたのがこれ。
hollow.png
部品の間隔やら気づくことも多いので3Dをグリグリ動かして眺めることも重要ですね。
もうちょっと煮詰めてから基板の製造を業者へ依頼してみたいと思います。

そうだKiCADを学ぼう

12B4A全段差動アンプの反省会でDACかフォノイコライザでも作ろうか?なんて締めくくっていましたがDACを作りたい欲が抑えきれなくなってきました。いやむしろなんでも良いハンダゴテが握りたい!(病気かな?)

ということでDACを作成しようと思います。おなじみぺるけさんのサイトには秋月電子で売られているAKI.DACを使用した作例がありますのでこれを作ってみて、もし飽き足らないようならばもっと物理性能が上のいわゆるハイレゾなDACにと言った具合で遊んでみましょう。
とはいえ、ただ部品を集めて作るだけでは個人的な進歩がないですからフィルタ+バッファ回路の基板を起こして作成してみようと思います。

基板を作るの割と憧れていたんですよね。電子工作の手練の人たちの作例で独自に基板を起こしているのを見ていると「いいなー自分もそういうのやってみたいなー、でも難しいのでしょう?」ってね。
色々下調べしてみると「いやいやそんなことはないよ、やってみたら意外と簡単さ」的なノリのサイトをいくつか目にします。ホントかなぁ?と思いつつも「まーまずはやってみないとわからないよね!」更に調べるとKiCADというCADソフトがフリーで使えて具合もよろしいみたい。
ということでKiCADを使って回路図を書いて、基板設計図を作って、発注してその基板を元に作成を行ってみたいと思います。
回路で言うとFET差動バッファ式USB DAC Version2を題材にしてみます。私のおうちの電源事情的にACアダプタが現状から増えるのはNGに近いのでUSBから給電できるのは魅力的ですし、回路規模もとりあえずやってみるなら手頃?かなと。
KiCADの使い方をあれこれ解説するわけではないですが、KiCADを使ってみて困った迷ったしくじった点などを忘備録としてまとめる予定です。
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Corsola

Author:Corsola
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